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4月の現場リーダー育成研修から学んだ 「自社/己を知ることの難しさ、放置することの損失」

4月も継続して実施している現場リーダー育成研修からの気付きを整理してみます。


今回のテーマは、先月やや消化不良だった「新規事業の方向・戦略を定める」という最重要課題の再確認です。 特に、因子状態の変化、エフェクチュエーション(手中の鶏)、クロスSWOT分析の3つを掛け合わせた戦略思考の振り返りは、参加者にとって大きな気づきをもたらしたと思います。


これらの手法は単体でも価値が高いのですが、組み合わせることで事業戦略の精度が格段に高まり、成功確度を引き上げると思います。しかし、実際に取り組むと、リーダーたちは共通の壁に直面していました。


<外部環境も自社の強みも“客観視できない”という根深い問題>


研修を通じて浮き彫りになったのは、次のような問題です。

  • 外部環境(政治・経済・技術など)を広い視野で俯瞰する習慣がない

  • 自社の強み・弱みを、自分の担当領域を離れて言語化できない

  • その結果、クロスSWOTの核心である

    • O×S(機会×強み) =積極攻勢戦略=

    • O×W(機会×弱み) =弱点強化戦略

    • T×S(脅威×強み) =差別化戦略

    • T×W(脅威×弱み) =防衛戦略

が深まらず、経営レベルの戦略に到達しない


本来であれば経営企画や事業戦略部門が担う領域ですが、中小企業ではそのような専門組織が存在しないことも多いと思います。だからこそ、現場リーダーが戦略思考を身につけることが、組織の未来を左右すると思います


<「手中の鶏」は近くて遠い──見えていない価値の存在>


特に印象的だったのは、「手中の鶏(自社の強み)」が見えていないという事実です。

設計手法、製造技術、業務プロセス、開発ツールや治具、さらには個人が持つ改善ノウハウなど── 社内では当たり前すぎて価値だと思われていないものが、外部から見ると驚くほど高く評価されることがあります。


しかし、これらのアセットが商品・サービスに結びついていないとすれば、 それは

人的資本のサイロ化以前の問題であり、事業成長の芽を自ら潰している ことになります。

価値はすぐそばにあるのに、誰も気づいていない。 この状況を放置することこそ、企業にとって最大の損失です。


<価値を循環させる“棚卸し習慣”が組織を強くする>


そこで重要になるのが、手中の鶏の定期的な棚卸しである。 棚卸しを習慣・仕組化するには、次の4つの施策が極めて重要だと痛感しました。


① 普段の業務プロセスの“当たり前”を疑う(社員)

日常の中に価値の種が埋もれている。 「ひょっとしたら宝かもしれない」という視点を持つことで、強みの発掘が始まります。 ただし、個人の気づきだけでは属人的になりやすいため、後述の“共有の場”が不可欠となりますが。


② 人的資本に内在する企業価値を棚卸しし、見える化する(管理者)

強みは見える化されて初めて活用できます。 しかし、管理者の力量差で棚卸しの質が変わるため、 共通フォーマットや評価軸の整備が必要になります。


③ 棚卸しの年間計画を立て、定期的に更新する(管理者)

棚卸しは一度やって終わりではありません。 外部環境も内部資源も常に変化するため、

年次・半期・四半期などの更新サイクルを設けることが重要となります。


④ KGI/KPIを設定し、経営指標と連動させて管理する(経営者)

棚卸しを“戦略的な活動”に昇華させるには、 経営指標との連動が欠かせません。 ただし、KPIが形骸化しやすい領域でもあるため、 強みの活用度や価値創出量を評価に組み込む工夫が求められると思います。


更に組織文化として根づかせるには次の要素が不可欠です。

  • 部門横断の価値発掘ミーティングを定例化する(場)

  • 棚卸しした強みをストーリー化し、顧客価値に翻訳する(仕組み)

  • 強みの発掘・共有・活用を評価制度に組み込む(評価)

  • 強みをデータベース化し、属人化を防ぐ(資産化)

これらが揃うことで、棚卸しは単なる作業ではなく、 組織の成長エンジンへと変わります。


<自社を知ることは、未来をつくること>


今回の研修を通じて改めて感じたのは、 「自社/己を知ること」は最も難しく、しかし最も価値のある営みだということです。

手中の鶏を見つけ、磨き、循環させる。その積み重ねこそが、持続的成長を生み出す“強い組織”をつくる。


リーダー育成研修は、その第一歩であると、強く感じました。


筆者 屋代喜久


 
 
 

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