3月の現場リーダー育成研修から学んだ「成果を出す組織」の特徴とは
- 屋代喜久

- 4月2日
- 読了時間: 4分
はじめに
今年2回目となる3月の現場リーダー育成研修に、助言役として参加しました。2月から継続して関わっている2社のうち、特に印象的なのは、大規模な組織改編を実施した企業での取り組みです。
4月の新年度に向けて事業ポートフォリオを転換し、新たな事業本部を立ち上げる――その
中核を担うリーダーに対し、「新事業を成功に導くための戦略構築」をテーマにした研修がスタートしました。プログラムは7月まで続きますが、今回見えた本質的な気づきを整理します。

成果を出す戦略は「強み × 機会」からしか生まれない
今回の研修の核は非常にシンプルで、かつ工夫されています。
自社がすでに持っている強みと、継続的に狙える市場機会を明確にし、それらを掛け合わせることで「勝ち筋」を描く。
そのために、以下の手法を組み合わせて活用しています。
因子状態表
エフェクチュエーション理論
クロスSWOT分析
いずれも特別に難しいものではありません。しかし重要なのは、これらを単独で使うのではなく、相互に補完させながら使うことです。
新しいアイデアをゼロから生み出すのではなく、「すでにある強みをどう活かすか」という
視点に立つことで、戦略は現実的かつ実行可能なものになります。
なぜ手法を知っていても使いこなせないのか
研修のワークショップで繰り返し見られたのが、「知っているのに書けない(言語化できない)」という状況です。
ワークシートに落とし込もうとした瞬間に手が止まる。その背景には、次の3つの課題があります。

まず一つ目は、環境認識の浅さです。自社を取り巻く外部環境や自社内の環境の変化を十分に捉えられておらず、視野も狭くなりがちです。その結果、大きな流れを見誤ります。
二つ目は、自社の強みの棚卸し不足です。日々の業務の中で積み上げている工夫や改善が言語化されておらず、「当たり前」として見過ごされています。
三つ目は、客観的視点の欠如です。顧客や競合から自社がどう見られているかを把握していないため、評価軸が内向主観的になります。
さらに根本的な問題として、言語化・文章力の弱さが挙げられます。
5W2Hが抜ける、体言止めで動詞がない、不適切な助詞によって意味が曖昧になる――こうした状態では、考えが整理されず、戦略や意思決定も曖昧になります。
つまり、「書けない」ということは「考えられていない」ということに他なりません。
日常業務の中で、正しく言語化する習慣を持つことが、結果として思考力の向上に直結します。
意思決定の質は「仕組み」で決まる
もう一つ顕著だったのが、意思決定の曖昧さです。
ワークショップでは多くのアイデアが出ますが、最終的に何を選ぶかの判断が、
・上司や先輩の一言で決まる・(何となくの雰囲気で)多数決で決まる・声の大きい人に引
っ張られるといった形になりがちです。
これでは、納得感が生まれず、後から「なぜそれを選んだのか」が説明できません。
この問題はシンプルに解決できます。

判断基準を明確にし、数値化することです。
例えば、重要度、緊急度、顧客要求度、先進性などの重要な指標を設定し、この中から二つ選んで複数の軸で評価する。スコアリング(5段階評価等)によって最も妥当な(評点合計値の高い)選択肢を導くことで、全員が納得できる意思決定が可能になります。
組織で成果を出すためには、「納得できる決め方」が不可欠です。
日々の業務は経営課題に繋がっているか
もう一つ、強く意識すべき視点があります。
自分の業務が、会社のどの課題解決に繋がっているのか。
日々の仕事は本来、経営目標と現状のギャップを埋めるための行動です。しかしその繋がりを意識せずに業務をこなしているケースは少なくありません。
自社の経営課題は何か。自分の業務はその解決に貢献しているのか。どの様に貢献しているのか?さらに効果的な方法はないのか。
こうした問い掛けで、定期的に振り返ることが重要です。
月初や期初といった節目で立ち止まり、業務と経営を結び直す。この習慣が、組織全体の成果と実行力を高めます。
手法は「知るもの」ではなく「使い続けるもの」
最後に改めて強調したいのは、手法の位置づけです。
手法は知識として理解するだけでは意味がありません。日々の業務で使い続けて初めて、自分の武器になります。

研修で使用するワークシートも同様です。継続的に業務の チェックや振り返りに活用することで、思考と行動の質が 高まり、結果として業務品質が向上します。
継続こそが、最大の差を生みます。
まとめ
企業の価値は、特別な一部の人材によって決まるものではありません。一人ひとりの小さな改善と行動の積み重ねが、やがて大きな力となり、組織全体の価値を引き上げます。
立ち止まって振り返ることで、変化に気づくことができます。そして、気づいた瞬間から行動を変えることができる。
変化に流される側ではなく、変化を生み出す側へ。
その第一歩は、日々の業務の中にあります。
筆者 屋代喜久



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