
現場でのコミュニケーション ― 空港の「アサーション(アサーティブ・コミュニケーション)」から学ぶチームの力 ―
11月10日
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今日は、私が以前勤めていた空港での仕事のエピソードを紹介したいと思います。
✈ グランドハンドリングとは?
前職では「グランドハンドリング」という業務を航空会社から受託していました。一言でいうと、パイロットとCA以外の空港での運航支援業務のことです。

たとえば、チェックイン業務、飛行機の誘導、客室清掃、手荷物の積み込み・降ろし、給水・給油、機体点検、整備、そして出発時のプッシュバック(押し出し作業)など。一便を安全に飛ばすために、実に多くの人が連携しています。
空港は時間との戦い。特に便数の多い羽田や成田、関空、福岡などでは、一つのミスが大事故につながることもあります。そんなリスクを最小化するには、現場のコミュニケーション力が欠かせません。
🧑🤝🧑 「アサーション」から始まるミーティング
ある日系航空会社のグラハン現場で、私は印象的なミーティングに立ち会いました。作業前に全員で「ミーティング(TBM)」を行うのですが、冒頭にリーダーがこう言うのです。
「アサーション、始めます!」

最初は「何が始まるのだろう?」と思いました。しかし、内容を聞いて納得。昨日の作業での“気づき”(良かった点・改善点)を共有し、みんなで意見を交わし合うのです。上司が一方的に指示を出すのではなく、全員が納得しながら意見を交わすスタイル。その結果、ミスの防止だけでなく、チーム全体の信頼関係も深まっているのが伝わってきました。
💬 「アサーティブ・コミュニケーション」とは?
「アサーティブ」とは、「お互いを尊重しながら意見を伝え合うこと」。自分の意見を押しつ
けず、相手の考えも否定せず、対等な立場で率直に伝える姿勢です。
コミュニケーションのタイプには大きく3つあります:

タイプ | 特徴 |
アグレッシブ(攻撃的) | 自分の意見を強く主張し、相手の権利を無視する |
ノン・アサーティブ(非主張的) | 自分の意見を言えず、相手に譲ってしまう |
アサーティブ(バランス型) | 自分も相手も尊重しながら、適切に意見を伝える |
空港の現場では、このアサーティブなコミュニケーションが大きな力を発揮していました。お互いを尊重する姿勢があるからこそ、ミスを減らし、チーム全体が安心して動けるのです。
🌱 あなたの職場ではどうですか?

毎日のミーティングで、上司からの指示を聞くだけになっていませんか?「言いたいけど、なんだか言いにくい…」そんな空気が漂っているとしたら、少しずつでも「アサーション」を取り入れてみるのがおすすめです。
たとえば会議の冒頭で、
「では、今日もアサーションでいきましょう」
と声をかけるだけでも、場の雰囲気はぐっと変わります。
「お互いを尊重しながら意見を交わす」たったそれだけのことが、現場の安全を守り、チームの信頼を育て、働く人の誇りにつながっていく。
空港で学んだこの「アサーション」の考え方は、今も私の仕事の軸になっています。
筆者 田甫能一





